菱田春草の「落葉」の虫食いの葉の日本画が好きです。
気になったので下記のようにメールをしました。
豊橋美術博物館第5回トリエンナーレ豊橋
星野眞吾賞展明日の日本画を求めて
優秀賞 AM(神奈川県川崎市)落葉の作品は、
明治時代の画家菱田春草の作品と構図が全く同じです。
公募展に応募する場合どこまで許されるのでしょうか
参考のためおききしたいです。と質問した後
丁寧な対応回答を頂きました。
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| 菱田春草 |
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| 質問した作品 |
回答
星野眞吾賞展 A.Mさんの作品について
「トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展」を担当しております
豊橋市美術博物館学芸員のO.Nと申します。
お問合せをいただきましたA.M氏の「落葉」は、
たしかに菱田春草の「落葉」の構図を引用した作品ですが、
著作権はすでに消滅しており、法的な問題は発生しません。
(日本では没後50年間著作権が保護されますが、春草は1961年
で切れました)
構図や色彩、技法、主題すべてが同じ場合は“模写”であり、
仮にコンクールに自作として出品すれば盗作となりますが、
浅葉氏は独自の主題(テーマ)のために引用を行っており、
主題も技法も春草とは異なっています。
(ちなみに福田美蘭氏も古典を引用した作品を制作されています)
「公募展に応募する場合どこまで許されるのか」という
お問合せですが、「引用して新たに何を表現したいのか」が
最も重要なことだと思われます。そうでなければただの真似に
しかなりません。
ご参考までに、浅葉氏「落葉」に対する審査員評を下記に掲載
いたします。(図録掲載の審査評より抜粋)
ご理解いただければ幸いです。
◎審査員長 吉田俊英(豊田市美術館館長)
「菱田春草の名作を今日の感覚から組み立てなおし、新たな作品にしたもの。
作者はこの手法を長年続けているが、今展出品作が最も完成度が高かった」
◎審査員 菊屋吉生(山口大学教授・元山口県立美術館学芸課長)
「実に軽妙で機知に富んだ作品です。一貫して追い求めてきた菱田春草作品の
換骨奪胎スタイルが、最も成功したものだと思います」
◎審査員 野地耕一郎(泉屋博古館分館学芸課長・元山種美術館学芸員)
「よく知られた近代日本画名作のパクリだが、細部をデザイン的な要素に
還元して演色性を増した構成の周到さが、原作とは異なる親密で乾いた空間に
返還され、それが別のある物語へと見る者を誘う気持ちよさがある。
画面を眼近に見ると、岩絵具の粒立ちの触覚性をもつ一方で丹念な筆致が
意外に写実的なニュアンスがあったのも見逃せないものだった」
菱田春草は、
明治時代に生きた日本画家である。
明治維新という劇的に時代が変貌する中で、伝統的な日本の
文化は、西洋文化の激流に呑み込まれていった。
日本古来の価値観の転倒、矛盾や混乱は、鋭敏な人であれば
あるほど、苦しい日常であっただろう。
洋画の導入により、狩野派や土佐派などの伝統絵画は、日本
画家となった。
日本の近代美術が多くの作家の苦闘の上に築きあげられた
といわれるが、その日本美術の革進者の一人が、
春草である。